遺言書の作成について

ご自身で作成する遺言書(自筆証書遺言)は、「すべての財産」を、「誰に、どのように相続させる」か、ということを「自分で書く」ことが必要です。
※公正証書での遺言書作成の場合は、文案を考えたうえで、最終的に公証人に作ってもらいます


もちろん複雑な遺言書を書くのであれば、専門家への相談も必要かもしれません。
しかし簡単な内容の遺言書であれば、ご自身で有効な遺言書を作成することもできます。
最近は書籍やインターネットなどで遺言書の書き方が多く紹介されています。こういった情報をうまく活用して、まずは自分でペンを持って書いてみることが大切だと思います。


また、遺言書は書き直し(前に書いた遺言の撤回)ができます。一度遺言書を作っても、その後の事情の変化に応じて、作成しなおすことも可能です。
少しだけ肩の力を抜いて、とりあえず書いてみませんか?
書いているうちに、ふとした疑問がわいてくることもあると思います。
実際に書いてみた遺言書が、正しく実行されるものかどうかについても、チェックさせていただきますので、お気軽にご相談ください。

財産目録は必ずしも作らなくてもよい

遺言書には「すべての財産」を書く必要がありますが、必ずしも「財産目録」のようなしっかりしたリストを作る必要はありません。
「私の全財産を妻〇〇に相続させる」という文言でも問題ありません。
また、遺言書の中で不動産や預貯金を特定できていれば、別の紙に改めて財産目録を作成する必要もありません。


細かい財産がある場合、遺言書の最後に「そのほかのすべての財産は、妻〇〇に相続させる」というよう文言を入れれば、財産の漏れを防ぐことができます。
「財産目録」として、すべての財産をしっかりと作成するのは意外と大変なことです。
自分で把握できるくらいのちょっとしたメモで十分でしょう。

遺言執行者は必要?

遺言書は書いたけれど、誰がその遺言を実現してくれるのでしょうか?
遺言書の中で、遺言執行者を定めることができます。遺言執行者とは、作成した遺言書がその内容の通り実行されるように、相続手続きを進めていく人をいいます。


実際のところ、遺言執行者は絶対に必要というわけではありません。
例えば、「不動産→妻」「預貯金→長男」「株式→長女」というような相続させる遺言書を作った場合、不動産の各種手続きは妻、預貯金の手続きは長男、株式の手続きは長女が、それぞれ手続きを進めていくことができます。
このような遺言書であれば、あえて遺言執行者を記載しなくても問題ありません。


しかし、遺言執行者を指定しておいた方が良いケースもあります。
例えば、「不動産をすべて売却し、現金を各相続人に相続させる場合」や、「籍を入れていないパートナー(事実婚、同性カップル等)に遺贈する場合」などです。
こういった場合は専門家に相談の上、遺言執行者を指定した方が良いでしょう。

生前対策としての遺言書

遺言書を書いていない場合、将来相続が発生したときに、相続人全員で「すべての財産」を「誰に、どのように相続させるか」を話し合わなければなりません。
いわゆる「遺産分割協議」です。
電話で口約束だけでハイ終わり、というわけにはいきません。「遺産分割協議書」を作成して、そこに相続人全員が署名し、実印を押印、印鑑証明書も取得しなければなりません。

近しい親族であれば良いですが、よくよく考えると結構大変です。
妻が「夫の親」「夫の兄弟」と協議をしなくてはならない可能性もあります。
また、子供間で協議すればいい、という場合も、未成年だったり認知症・障がいがある方の場合、特別代理人や成年後見人の選任、という話になってきます。

意外と時間がかかったり、労力がかかります。
亡き後、残された相続人の負担を減らす意味でも、遺言書を作成しておくことは重要です。
※どうしても相続させたくない人がいる、という場合も、遺言書の作成は必須です。